カキンチョウとの闘い プロローグ


 遠い記憶では

わたしは物怖じしない天真爛漫なタイプだった

だけど

親がいつ爆発するか分からない

理不尽なことを強いられる状況が

幼少期から学生時代まで続いた

そうしているうちに


失敗してはいけない

状況にうまく対応しなければ

わたしはいつも間違っている


そんな気持ちがスタンダードになってしまった

成長するにつれてわたしのカキンチョウは増殖した


誰かに見られていると思うと動きがぎこちなくなる

人と会食する時コップを持つ手が震えてうまく飲めない

挙句 盛大に飲み物をこぼしてしまったり 大失敗をする


誰かと関わることは好きなはずなのに

誰かといるとガチガチになる

家に帰ると倒れ込む日々


緊張の糸が切れて号泣することもあった

なにかとてつもなく不安で

どう処理していいか分からない感情の激しい波


どうしてわたしってこうなの?

なんでうまくできないの?

なんで楽しいはずの時間がこんなに苦しいの?


ただただ生きるのが辛い

いつも力が入って

本当のわたしがこれなの?

もう 嫌だ


それが過緊張

可愛くないヤツ


そうやってわたしのカキンチョウとの闘いは始まった


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